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この基本的なものにいろいろな料理が追加される。まず、チキンカレー、もちろん骨付きというよりは、ぶつ切りである。料理の本などを読むと、みじん切りしたタマネギを、ゴールデンブラウンになるまでよく炒めてなどとあるが、よほどのことがない限りそんなめんどうなことはしないようだし、タマネギだってろくにはいっていないものが多かった。スパイスもそんなに種類を多く使っていない。ベサル(ターメリック)とクルサニ、それに塩くらいであり、ときにはベサルも使わずに作られている。私の家のチキンカレーを食べたあるネパール人が「こんなおいしいカレーはどんな風に作るのか」と真剣に聞いた。教えてあげると、「そんなに時間をかけてていねいに作るわけにはいかない」と言う。彼はあるレストランで働いているというのだから、普通のレストランで作っている味がどのくらいのものか見当がつくというものだ。
日本やヨーロッパスタイルのカレーのイメージとはまったく異なっている。一般的にいうと、チキンを料理に使うのは特別のご馳走としている家庭が多い。地方によって、民族によって特徴のある料理法があるようで、ポカラで食べたタカリ族の料理はチキンカレーにアル(ジャガイモ)もはいっていたし、いろいろな野菜を入れて煮込む地方もあるようであるし、濃度もさまざまである。川筋ではマチャ(魚)のカレーもある。バッティなどではカレー以外にもから揚げにしたりもしているし、祝いのプジャにも使われている。お祭りの前にはバザールでマチャの干物がたくさん売られている。(ネパールのマチャはもちろん川魚でコイとかマスの仲間である。)
ネパールではチキンは最上の肉であり、チキン以外に羊、水牛、ヤクなどの肉を使うが、肉料理はご馳走である。牛肉を食べてはいけないことは言うまでも無い。