日本人はカレーライスが大好きである。そして、多くのレストランのメニューに載っている。しかも味や辛さは千差万別である。学校給食でも一番人気のメニューであるようだし、焼肉が全盛になるまではキャンプ料理のナンバーワンの地位にあった。
日本のカレーは小麦粉を使ったドロっとしたご飯にかけて食べるやつである。肉もビーフ、ポーク、チキンさまざまであるし、それ以外にもおなじみのジャガイモ、ニンジンが必ずといっていいくらい入っている。たまにインドカレーと称するカレーを食べることがある。インドでもルーに小麦粉を使っている地方でもあるのだろうか。たいていのインドカレーに小麦粉を使っているのはどういうわけだろうか。こうしなければ日本人は納得しないのだろうか。さらに不思議なことは、インドカレーにビーフが入っていることである。地方により、宗教によってはビーフを食べているのか私はよくわからないけれども。インドカレーにビーフを使わないのが普通だと思うのだが。
ネパールの家庭でチキンカレーはご馳走であり、お祭りや来客のもてなしの料理であるようだ。レストランやバッティなどでもチキンカレーは出てくるが、チキンカレーだけということは無い。例のタルカリダルバートにプラスされて出てくる。要するに、チキンカレーといえども少しぜいたくなオカズのひとつに過ぎないのである。日本のようにチキンカレーとあとはつけあわせだけということは無い。
何よりも違うことは、カレー粉なるものはインドやネパールには存在しないということのはずである。にもかかわらず、本家のいんどではどうであるか知らないが、近頃ネパールではミックスカレーパウダーとか、ミートカレーパウダーなるものが売られている。それだけならまだいい。ごていねいに日本語の作り方まで添えられているのが奇妙である(不幸にして?私はまだ使ったことが無いので味について何ともいえない)。
実際、ネパールでチキンカレーを食べてみると、タマネギは余り使っていなかったり、スパイスなどもほとんど使わなかったりで、塩と辛味、色付けにベサルが入っていたりいなかったりというところである。トロミどころか、ドロッともしていない。油と絡みの付いた塩汁で煮た日本で言えばショウユで煮たようなサラっとした仕立てのものによくお目にかかった。日本のレストランで働いているネパール人のT.Sくんにこのカレーどうやって作るんですかとまじめな顔で聞かれたのには少々面はゆい思いをした。
以下のレシピは、かなり贅沢なもので、普通にはあまり作られていないようである。私の家で食べたネパール人が、デレデレミトサ、とてもおいしいと言うのも無理は無いだろう。実際、作るときにはニンニクが多くなったり、クミンをたくさん入れたい、ヨーグルトが入ったりとそのときの気分によることが多い。だから、あくまでひとつの目安として参考にしていただきたい。スパイスが手に入りにくいときは、市販のカレー粉を使っても良い。